膨大な素晴らしい素材の中から、ひとつを選ぶ。
その判断には、いつも時間がかかります。
この仕事を20年近く続けてきて、ある程度は想像できるようになりましたが、
それでも、実際にかたちにしてみると、思い通りにはいかないことのほうが多いと感じます。
とりわけレザーは、手触りやコシ感だけでなく、厚みひとつで印象が大きく変わるもので、
漉きのわずかな差が、かたちの輪郭を左右します。
だから、デザインが机の上では全く完結せず、信頼できる職人と対話し、修正を重ねながら、精度を上げていくしかありません。
その積み重ねの先に、ようやくかたちが立ち上がってくる瞬間があります。
扱いが難しい素材だからこそ、
毎回、新鮮な感覚で向き合うことができるとも感じています。