Design Notes of Doctor's Boston
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昔から、白黒写真を見るのが好きでした。
色がないぶん奥行きが際立ち、写真の持つメッセージや意図が、まっすぐに届く気がします。
なかでも、Sebastião SalgadoやLee Millerのような、ジャーナリズムの視点を持つ写真に惹かれていた時期があります。そこで出会った女性兵士の写真は、いかつい軍隊のイメージとは異なり、やわらかな笑みを浮かべていたのがとても印象的でした。
戦時中という過酷な時代にあっても、カメラの前で微笑む。不安と隣り合わせの日々を、少しでも明るいものにしようとするその姿勢は、当時を生きた多くの女性に共通するものだったのかもしれません。
その中に、ドクターズボストンを携えたイギリス人女性医師の写真もありました。
戦時中の女性といえば看護師、という思い込みもあり、医師の格好をしたその女性が強く印象に残っています。
よく考えれば、数は少なくとも、女性医師が存在していても不思議ではありません。
写真の中の彼女は、男性用よりもやや小ぶりなドクターズボストンを持っていました。
口枠を開けば大きく開くその中には、小瓶の薬品やコットン、貴重な注射針が整然と収められていたはずです。繊細なものを割らずに運ぶための革のバッグは、ずっしりとした重みと確かな強さを備えていました。
このクラシックで独特な佇まいを、現代の女性が持ったらどうなるか。
その視点からこのバッグをデザインしています。